鞄図書館

東京創元社から出ている、芳崎せいむさんの『鞄図書館』。

鞄図書館<1>

鞄図書館<1>

あらゆる書物を内に所蔵する鞄と、鞄を持つ不思議な男が営む鞄図書館。
貸し出し期間の1年間、運良く鞄図書館に出会った人々は、好きな本を貸し出してもらい、
1年後に、男が返却を求めて現れる……
世界を巡る人々と鞄図書館の織り成す、少し不思議であたたかなストーリー

子どものころの思い出の本から、「ネクロノミコン」まで所蔵しているという
不思議な「鞄図書館」を巡る物語。


本の内容にはほとんど言及しないので、
金魚屋古書店』や『うごかし屋』よりも読みやすいかもしれません。
個人的には『金魚屋古書店』はともかく、『うごかし屋』は、
本の内容ではなく、人間ドラマに重きがあると思っていますが。

金魚屋古書店 9 (IKKI COMIX)

金魚屋古書店 9 (IKKI COMIX)

うごかし屋 1 (ビッグコミックス)

うごかし屋 1 (ビッグコミックス)


本が好きな人だけでなく、あまり本と縁が無い人でも、
想い出の1冊は、心の中にあるのではないでしょうか。
手放してしまった、もしくは失ってしまった大切な1冊を
もしも、もう1度手にすることができるなら……


そう考えるだけで、心のどこかがザワザワしたり、
あたたかくなったり、切なくなったり。
心が動くなら、ぜひ読んでほしい静かに面白い1冊。


自分に置き換えて読むと、マンガの内容も
引用されるゲーテの言葉も、ひどく胸にしっくり来る気がします。
(メカタ)