男の食事は勝負なのだ!『食の軍師』

以前にも少し書いたが
泉昌之久住昌之氏と和泉晴紀氏のユニット)の『食の軍師』が面白い。

食の軍師 (ニチブンコミックス)

食の軍師 (ニチブンコミックス)

内容は極めてくだらない。
トレンチコートの本郷さんが、お気に入りの飯屋に行くって食事をする
ただ、それだけ。
ところが、これが非常にスリリング。


彼は何かを食べることに、非常にこだわりがあり、
自分のカッコイイスタイルで食したいと強く願っている。


店に入るスタイルから始まり、
何を最初に注文するか、注文の仕方、店内での過ごし方、
食べ方や作法、締めに何を選ぶかまで、
独自の「カッコイイ俺」スタイルを貫き通す。


例えば、鮨屋でどういう順序で食べれば通に見えるか?といったような話だ。


本来なら、(自分の思う)デキル男の食べ方をまっとうできるハズなのだが、
本郷さんの前にはいつも「あの男」が立ちはだかるのだ。


一方的にライバル視しているパーカーを着た青年は、
常に本郷さんの一歩先を行き、ワンランク上のカッコよさで飯を食う。


本郷さんの妄想の中では、常にパーカー青年とのバトルが勃発。
あらゆる戦術を駆使しても、連戦連敗。どうにも歯が立たずに
「デキる!」「ヤラれた」「悔しい」と歯がみする日々。
しかしながら、青年はごく自然体で、本郷さんのことなど眼中になく……


というもの。


文字で書くと、あまりにもしょ〜もない話のような気がするが、
カッコよく飯を食うことに必死になって、
「勝った」だの「負けた」だのと一喜一憂している様が本当に可笑しい。


食についての段取りに必死になってしまう人や、
一家言ある人ならば、さらに面白く読めるだろう。


自分はあまり段取りにこだわらない方だが、
それでも、毎日のことだからそれなりに自分ルールはある。
例えば、弁当のごはんとおかずを食べる順番とか。


日ごろの自分を鑑みながら読むと……
とても味わい深くなる一冊だ。
(山科)