宇宙家族ノベヤマ

宇宙家族ノベヤマ 1 (ビッグコミックス)

宇宙家族ノベヤマ 1 (ビッグコミックス)

SF漫画界の哲人、岡崎二郎先生が送り出すハードSFでございます。

「この宇宙はDNAで満ちている」。遥か遠い星から地球に送られてきた宇宙電波はその文章で始まっていた。地球文明以上の宇宙航法など宇宙電波には重要な内容が含まれていたのだ。宇宙電波の指示に従い、一隻の宇宙船が長い銀河宇宙旅への出る。息子、翔太が宇宙電波の指示する「メッセンジャー」と呼ばれる遺伝子を持っていたために、サラリーマン野辺山雄一の人生は予定外の方向に。妻と娘の美里、翔太、飼い猫とともに人類の代表者として、宇宙電波を発する異星人に会いに行くことになった野辺山。彼らを待っているのは、一体どんな異星人、地球外文明なのだろうか?

『ファミリーペットSUNちゃん! 』とか、ほのぼの系が続いていた感の岡崎先生ですが、ここに来てのハードSF。お待ちしておりました。SFホームドラマという体裁をとりながら、家族という人類最小単位の共同体と、地球外の文明を対比させ、「一体人類とは何なのか?」「文明とは何なのか」という深いところまで、グイグイと迫ってこられます。しかも、難解になりがちな異文化・異文明についての描写や解説が非常に分かりやすく、巧みに表現されていて、するりと入ってきてしまう。さすがでございます。ああ、久しぶりにSF小説をがっつり読みたくなりました。

「私たちは もっと賢くなるべきだ。」(『宇宙家族ノベヤマ』より)