並木橋通りアオバ自転車店

先日、20巻で最終巻となった自転車マンガ。
(とはいっても『アオバ自転車店01』と名前を変えて続くのですが)

4785926937並木橋通りアオバ自転車店 (18) (YKコミックス (693))
宮尾 岳
少年画報社 2006-10-10

by G-Tools

舞台は「アオバ自転車」という、街の小さな自転車店
自転車バカの父・峠工一、元気一杯の主人公「峠アオバ」、
病弱な商店街のマドンナ「峠ワカバ」の一家と、
その他親族や街の自転車乗りたちを中心に描く、1話完結のマンガです。

という設定ではありますが、店に置いている自転車の豊富さ、
間口の広さ、パーツの在庫量、工房を併設している…などなど考えると、
かなりデカい自転車店なんでしょう。
そして、あらゆる自転車を探し出して販売する懐の深さからして、
日本国内で、相当“力”を持った自転車店なのかもしれません。


まぁ、そんな自転車店で繰り広げられる、自転車を媒介した人情劇。
ついホロリとしてしまう話も多く、自転車ファン以外からも評価の高い作品です。


最近は自転車マンガが増えていますが、そのほとんどはレースを描いています。
しかし『並木橋通りアオバ自転車店』は、数少ないレースをしない自転車マンガ
“自転車”という道具にスポットをあてたマンガなのです。


人情ドラマを味わうのが本来の楽しみ方かもしれませんが、
作者の宮尾岳が、一生懸命探してきて丹念に描いている、
いろいろな変わった自転車、思い出の自転車を「へぇ」「こんなのもあるんだ」と
思いながら読むのも、楽しみ方の1つかもしれません。


きっとこのマンガを読んで、自転車を引っ張り出してきたり、
新しい自転車を買ったりした方も多いんでしょうね。
最近は「ちょっとネタが苦しいか?」と言われることもありましたが、
『アオバ』の世界に賛同する自転車乗りが増えてほしいという思いも込めて、
今後も長く続いてほしいマンガです。


普段から自転車が好きで、変わった自転車に乗っている私にとって、
このマンガは非常に物欲を刺激される、危ない作品ではあるのですが。

並木橋通りアオバ自転車店 20 (20)並木橋通りアオバ自転車店 20 (20)
宮尾 岳

少年画報社 2007-06-25
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普段めったに怒らない、峠工一さんが珍しく激怒した
「ノーブレーキピスト」問題も、最終巻である20巻には収録されています。


ものすごい論議を巻き起こし、広告撤去にまで追い込まれた
ナイキのバカな広告「ブレーキなし。問題なし。」に対抗して付けられた
ブレーキなし。問題あり。」のサブタイトルに
峠工一さんの(いや、作者のか?)強い怒りを感じます。
(メカタ)