PEDAL

『ソムリエ』『バーテンダー』原作者の城アラキ氏と、『とびっきり! 』や『交通事故鑑定人 環倫一郎』(作画担当)の樹崎聖氏のコンビによる、『PEDAL』という読切漫画が、「Oh SUPER JUMP4月号」に掲載されています。

元ラリードライバーの半谷陸は、メッセンジャー(自転車便)のライダーとして、ロードバイクで東京の街を走り回る毎日だ。そんな陸にかつてのスポンサー代理店の社長から、ある荷物を運ぶように依頼される。荷物とは「社長」自身。東京から鎌倉まで50キロ、陸と社長の奇妙な配達任務の先に待っているものとは……

自転車とヒューマンドラマをクロスさせた、非常に爽やかな作品で、「初めてスポーツ自転車に乗ったときの驚きと感動」が伝わってきます。作画担当の樹崎氏は、以前にもこのブログで書いたかもしれませんが、自身もMTBを趣味にしておられ、『NO GRAVITY』『ALICE NO GRAVITY』『FALLEN』というMTB漫画を描かれています。さすが自転車の描写には安定感があり、「自転車の放つ美しさ」が表現されています。
で、城アラキ氏の方は、どうやら割と最近に自転車に目覚められたようで、その熱がこの作品の原作に注ぎ込まれているのでしょうか。「自転車乗り」の視点から見れば突っ込みたいところはたくさんあるのですが、ある種の初々しさにあふれており、城アラキ氏が自転車にハマっている様子が目に浮かんできました。盛り込まれた要素が多すぎて、読切作品の都合上あえて描かれていない点があるので、ぜひ続編を書いていただくために、アンケートのQ4‐b「『PEDAL』の続編を?」には「読みたい」と答えて送っておきます。


連載作品でいえば、週刊少年チャンピオンでは、ロードレースを題材にした『弱虫ペダル』が、今年の12号から連載が始まっています。主人公がアキバ大好きな心優しきオタク高校生という変わった設定。脚力は長年のアキバ通いで身に付いたことが明かされています。こちらも作者の渡辺航氏がロードバイク好きということで、今後が楽しみです。

週刊少年マガジンOver Drive』、月刊少年マガジン『バイキングス』、週刊ヤングサンデー『Odds』、そして『並木橋通りアオバ自転車店』がヤングキングヤングキングアワーズでの並行連載と、自転車漫画がたくさん読める昨今。そのほか、『シャカリキ!』が映画化され、小説『サクリファイス』が第10回大藪春彦賞受賞など、自転車をモチーフにした作品の話題も多く、喜ばしい限りです。

4063711218バイキングス 5 (5) (月刊マガジンコミックス)
風童 じゅん
講談社 2007-12-17

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サクリファイス

サクリファイス

一方、現実のプロロードレースは、あまり喜ばしくない話題が目立ちます。メディア作品ばかりでなく、競技としても盛り上がってくれることを期待いたします。

(山科)