ウルトラバロック・デプログラマー

敬愛するいとうせいこうさんの名作『解体屋外伝』を、
浅田寅ヲさんがコミカライズ。

4757521251ウルトラバロック・デプログラマー 1 (1) (ヤングガンガンコミックス)
浅田 寅ヲ
スクウェア・エニックス 2007-10-25

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マインド・コントロールを拒み自己を取り戻せ!
洗脳外しのプロ=解体屋が挑む熾烈な闘い。
おれは誰なのだ。其をすっかり、おれは忘れた……。
洗脳のプロ・洗濯屋(ウォッシャー)と対決する、洗脳外しのプロである解体屋(デプログラマー)。
知らず知らずのうちに心に潜み込むマインド・コントロールから逃れ、
「自己」を取り戻す熾烈な戦いは、もう始まっている。隣接未来的・痛快頭脳冒険活劇。

浅田寅ヲさんの作風と、時代を先取りしすぎたいとうせいこうさんの作品が
ステキにマッチして、わかりやすく、しかし原作の雰囲気を伝えるマンガなのではないかと。


小説版をしっかり覚えているわけではありませんが、
非常に原作に忠実。ビジュアル化している分、
わかりやすさは格段に上がっていると思われます。


小説が発行されたのは1993年。
オウム真理教による洗脳云々の話も、パソコンもそんなに
メジャーでなかった時代。なんだか時代よりも早すぎて、
そんなに話題にならなかった(印象のある)小説ですが、
読んでみると、非常にスピード感があって面白い。


時代を象徴するようなテクストも多数埋め込まれていて、
モトネタを探しつつ、そちらの世界にもアンテナを伸ばせば、
より深く、作品世界に耽溺できます。


はじめて『解体屋外伝』を読んだ当時、
フィリップ・K・ディック柄谷行人カフカ大江健三郎などなど
必死の後追いを試みたことを思い出します。
半分も理解できなかったような気はしますけど。

4062633000解体屋外伝 (講談社文庫)
いとう せいこう
講談社 1996-07

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1993年当時なら新しかったであろう表現も散りばめられたマンガは、
とても新しくありながら、どこか古臭い感じもして。
2008年の今読むからこその、不思議な感覚を持つ、
別の作品になっているのかもしれません。



あわせて読みたい『ワールズ・エンド・ガーデン』。
解体屋が初登場する長編です。

4103701021ワールズ・エンド・ガーデン
いとう せいこう
新潮社 1991-01

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(メカタ)