ミスミソウ

押切蓮介さんの『ミスミソウ』。
読後感は最悪に近いのですが、目が離せない作品。

ミスミソウ 【三角草】 (1) (ぶんか社コミックス)

ミスミソウ 【三角草】 (1) (ぶんか社コミックス)

ミスミソウ 【三角草】 (2) (ぶんか社コミックス)

ミスミソウ 【三角草】 (2) (ぶんか社コミックス)


「ホラーM」に掲載されていると聞いていても、正直舐めていました。
おばけがペシペシ殴ってくるような、ギャグテイストなんじゃないかとか。
でも、どこまでもシリアスで、ホラーなんですね。

東京のから田舎の中学校に転校して来た、家族思いの美しい少女野咲春花。
春花は閉鎖的な学校のクラスメイトから壮絶なイジメに遭っていた。
家族に心配を掛けたくないととイジメの存在を隠している。


何かの鬱屈でいっぱいいっぱいになっているクラスメイトたちは、
憑かれたようにイジメを加速して行き、
頼りになるはずの先生も、狂気に支配されている。


中学校卒業までは残り2カ月。
彼女に好意を抱く、相場晄の存在に一筋の光を見出して、
耐えようとするのだが、彼女と家族に不幸が忍び寄り、
世界は大きく狂い始めていく。


閉ざされた雪の山荘での出来事のように、
全員が、“逃れられない”と思い込んでいる、開けた閉鎖空間。
押し込められて発酵した思いが、憎しみや狂気を生みます。


凄惨なのに、清清しい空気をまとう主人公は、これからどう進んでいくのか。
行く先に救いはあるのか。幸せな結末は存在しているのか。
心配で仕方がありません。
「ホラー」なのだから、アカルイミライなどないのかもしれませんが、
でも…… と、少しの期待を抱いています。


後味が悪く、救いが見えないだけに、人に薦めるのはためらわれますが、
でも、人を選んで薦めたくなる作品。
3巻が待ち遠しくて仕方ありません。
(メカタ)