週刊少年サンデー『ツール!』連載開始

週刊少年サンデーで、サイクルロードレースを題材にした漫画『ツール!』の連載が始まりました。作者は大谷アキラさん。某漫画に似ていると話題になった『LOST+BRAIN』の作画を担当された方であります。監修にJSPORTSサイクルロードレース中継でおなじみの、栗村修さんがついています。

LOST+BRAIN 1 (少年サンデーコミックス)

LOST+BRAIN 1 (少年サンデーコミックス)

“空前のロードバイクブーム”と言われている昨今ですが、ついに少年サンデーでもロードレース漫画が始まりました。少年チャンピオンでは『弱虫ペダル』が連載中で、少年マガジンにはアニメ化もされた『Over Drive』がありました。あとは少年ジャンプで週刊少年誌を制覇ということに……。

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)

弱虫ペダル 1 (少年チャンピオン・コミックス)

OverDrive(1) (講談社コミックス)

OverDrive(1) (講談社コミックス)


さて“超本格ロードレースストーリー”と銘打たれた本作ですが、弱ペやオバドラ、『シャカリキ!』『かもめチャンス』『バイキングス』と大きく違う点があります。それは、“主人公が最初からロードレースを知っている”こと。

他のロードレースを主題にした作品の多くは、主人公がロードレースやロードバイクを“知らない”ところからスタートしています。これはおそらく、読者に対する敷居を下げるための配慮だと思われます。主人公を通して、題材に対する知識を持たない人にも専門知識を学べるような構造になっているわけです。ロードレースに限らず、マイナーなものを扱った作品だと、頻繁に使われる手法でもあります。

本作は自転車に対する基礎知識を主人公がすでに持っているという設定に基づき、専門用語に対する解説が少なめに感じます。丁寧に解説を行うと、分かりやすい反面、読者が読み飛ばしてしまうデメリットを防ぐための配慮かもしれません。専門用語は、読者を掴んでからあらためて解説してもいいでしょうし。もしかしたら、解説はあまり行わない方向で進んでいくのかもしれません。まだ第1回ですのでまだまだ分かりませんが、“主人公が最初からロードレースを知っている”ことが、物語にどのような影響を与えるのかにも注目してみたいと思います。


現役のロードレーサーを父に持つ少年・ヒイロは、親友の競(きそう)とともにテレビ中継されるロードレースの世界に夢中になっていた。競の父もまた、ヒイロの父と同じチームに所属するロードレーサーである。
3週間後に開催されるジャパンカップのために地元に戻ってきた父・勝(かつ)と、久しぶりの対面を果たすヒイロ。誕生日のプレゼントとして、ヒイロは勝から初めてのロードバイクを渡された。しかも勝の所属チーム“シルクサカイ”と同じカラーリングが施された特注品だ。

翌日、ヒイロは初めて乗るロードバイクで勝たちと、簡単なレースをすることに。ヒイロたちにとって走りなれたコースだが、ゴール手前のコーナーは強風が吹き荒れる難所で、二人はいつも曲がりきることができなかった。5分速くスタートし、先頭交代を使ってリードを保ったまま最終コーナーに到達するヒイロと競。そして、今まで一度もまともに走ることのできなかった地点を、風の吹いてないほんのわずかな隙間を見極めて、縫うように走り抜ける。ヒイロは常日頃から漁師の祖父と一緒に船に乗っているため、“風を見る”ことができるという、特殊な能力を秘めていたのだ。以前から風は見えていたが、今までの自転車ではヒイロの反応についてこれず、走り切れなかったことが判明する。

自転車選手の最大の敵である“風”を味方にできる能力を持つ息子に驚愕する勝。『もし、コイツを世界に走らせたらどうなるかな!?』。勝は、ジャパンカップに勝利したら本場のヨーロッパへ挑戦するとヒイロに語り、「お前も来るか?」と問いかけるのだった。


ロードレースは知らない人に説明するのがとても難しい競技だけに、解説が非常に重要だと思っています。分かりやすい解説で定評のある栗村さんが監修されるということで、本作がどのようにロードレースの世界や面白さを伝えてくれるのか、期待したいと思います。

サンデーの「まんが家バックステージ」では大谷さんがさっそく自転車ネタでこんなイラストを。美しいTREKサマです…http://www.websunday.net/backstage/ootani/

…が、大友克洋さん&寺田克也さんの『ビバ・イル・チクリッシモ!』に描かれている、女神と悪魔のイラストとカブってる、と言うのは野暮ですね……

ビバ・イル・チクリッシモ!(2冊セット) 完全限定版

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ちなみに栗村修氏は右の方。軽妙な喋りもいいですし、見た目もカッコイイ(?)。

(山科)