第7回日本マンガ学会大会 17日

マット・ソーン氏


二日目は、欧米、アジアの各国で日本のマンガ出版に携わる人たちをゲストに招いき、京都国際マンガミュージアムでシンポジウムが行われました。
非常に貴重な話を色々と聞かせていただいたのですが、個人的に興味を持ったのは「翻訳」の問題。翻訳者に支払われる賃金の安さ。それに伴う翻訳の質の低下。京都精華大学准教授のマット・ソーン氏はアメリカで発売されている『のだめカンタービレ』の翻訳については相当お怒りで、『のだめトーク』ともいうべき独特の会話や言語が表現できていないと、バッサリ。「翻訳が良かったら、アメリカでもっと売れているはず」とも付け足し、聞いているこちらがヒヤリとしてしまいました。

また、なんとなく日本からは同じように思える欧州の国でも、フランス、イタリア、スペインではそれぞれ異なるマンガ文化や事情があることを知り、大変勉強になりました。

他にも、アメリカで日本式のマンガを描く世代が育ってきているとか、日本マンガに対するバッシングの話とか、興味深いお話ばかりでもっともっと聞いてみたかったというのが本音です。

フェデリコ・コルピ氏(元ダイナミックプロ国際部)が語っておられた、「日本人の多くが『日本のマンガは外国でも大人気なんだね!』とか、『さすが日本のマンガは誇るべき文化だ!』と楽観的に思っているのかもしれないが、真に日本のマンガに理解を得ないまま粗製濫造の出版が続くと、そう遠くない未来に、日本のマンガブームは終焉を迎えるだろう」という内容のお話が非常に印象的でした。

(山科)