後藤ひろひと氏原作の漫画に注目

「大王」こと脚本家・後藤ひろひと氏原作の漫画『HUS』が「コミックヨシモト」に連載されております。画はイシデ電さんが担当。
禍々しいというか、おどろおどろしさに満ち溢れていて、でも目を逸らすことができない不思議なお話です。

大王の舞台では『人間風車』も相当ホラーな話でしたが(ちなみに遊気舎版のほうが、ゾッとします)、『JULIO(フリオ)』は今思い出しても、漏らしそうなぐらい怖かった。

大王が吉本興業所属ということで、今回「コミックヨシモト」に携わったのでしょうが、大王に漫画の原作を描かせようと思った方は凄い。正直、私にはあまり想像できませんでした。

なぜかというと、どうも大王の書く脚本が漫画という表現手段とマッチしないからだと、勝手に思い込んでいたから。前述の『JULIO』は……歌が重要な位置に有るので難しいだろうし、『人間風車』はホラーな部分と笑いの部分が上手く表現できる漫画家さんが、私には思い浮かびませんでした。また、氏の脚本の多くが「笑い」を中心にして物語を進めるのですが、「舞台の笑い」と「漫画の笑い」が別の種類のものであるからかもしれません。

ですが、劇団新感線の戯曲『大江戸ロケット』はアニメ化・コミカライズされており、すべての演劇と漫画が相容れないものではないとも思います。ちなみに劇団新感線の座付き作家・中島かずき氏は漫画『闇鍵師』の原作や、アニメ『天元突破グレンラガン』のシリーズ構成を担当されている方です。

劇団新感線に限らず、藤原カムイが漫画化した戯曲『聖ミカエラ学園漂流記』(原作・高取英)とか、東京グランギニョルの『ライチ☆光クラブ』を原作に古屋兎丸氏が近年作品を発表するなど、もちろん前例はたくさんあるのですが。

漫画と演劇の話については、できればあらためて考察したいと思います。

話は戻って、今作の『HUS』は漫画の原作として書き下ろされていて、漫画にしにくい箇所は少ないように感じました。また「笑い」の部分にも重点は置かれていないようです。逆に舞台の脚本としては難しいものなのではないでしょうか。こういう書き分けができるところに、あらためて後藤ひろひと氏の懐の広さを感じずに入られません。

と言いつつ、『天才脚本家』とか『エル・ニンジャVSアマゾネス・キョンシー』の漫画なんか読んでみたいなぁと思ったり。

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(山科)